
去る 2025年6月7日に、世田谷区・長谷川町子記念館で開催された「こより」のワークショップの様子を、ご報告申し上げます。
* * * *
長谷川町子美術館からワークショップの依頼がありました。
そもそもは「もんきり」のワークショップのはずでした。
ところが、打ち合わせの席で町子さんの作品を見せていただきているうちに、
目にとまったのがこの小さなカット。「おおっ!これは」すぐにピンときました。
こより人間やこより犬。目につき始めるとあちらにもこちらにも。
よほど「こより細工」ごお好きだったか、この時代には暮らしの中の小さな遊びとして当たり前だったか。
いずれにせよ、一気にみんなが盛り上がり、テーマは「こより」に変更。




私も「こより犬」が江戸時代の川柳の題材にもなっており、
どうやら、小さな手遊びとして古くから親しまれてきたらしいとは知っていましたが、
実際にどんなものかは知らなかったのです。
町子さんの絵をきっかけに捜査開始!
こんな本を見つけました。
戸川幸夫さんは動物文学で有名な小説家。子供の頃に読んだな〜。
早速手に入れたのですが、この表紙!こより犬だらけです。
しかし表題の「こよりの犬」のエッセイはたったの3ページ。
でも、すごく心に沁みるいい話でした。

さて、さて、どう作るのか?
やっと辿り着いた「作り方」の本を都内の図書館から取り寄せ作ってみました。
きゃ〜かわいい。吹けば飛ぶような頼りなげな感じ。
こよりをさらに撚り合わせ、一回も切らずに耳と顔、足を作り、最後に残った部分が尻尾になる。
ヒモの原理を上手に利用したシンプルな作りに感心しました。

いよいよワークショップ。
こよりを作るところから始めて、こより犬にたどり着くか、、、
両手を使ってピンとした「こより」を作るのはなかなかすぐにはできません。
やり方を説明されて、頭は理解しても手が動かない。
でも一旦手が覚えると、あら不思議。
自転車に乗れるようになる感じと似ています。
技が身体に馴染むことの嬉しさと言ったら!

ピンとしたこよりは紙を綴じるためにはやいせつだけど、こより犬を作る場合はその必要もないので、
むしろ作りやすいかもしれません。なんとか皆さんが完成させました。
それぞれ個性豊かな犬達です。

「横帳」も完成させました。
