こころに寄り添うかたち お彼岸のもんきり

3月に入ると、寒さがゆるみ少しずつ暖かさが増してきます。
3月20日か21日ごろには、春分(2018年は3月21日)がやってきますね。
太陽が真東からのぼり真西へと沈むこの春分の日を中心とした7日間(2018年は3月18日(日)から24日(土))が、春のお彼岸です。

毎年お彼岸には、お墓参りをしたり、お花やお菓子を供え供養をする方も多いのではないでしょうか。

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「花を贈る」


小社の紋切り型miniキット『紙あそび歳時記 咲く』には、たくさんの美しい花の紋切りが掲載されていますので、四季の花の紋切りカードを作って、贈っていただけます。
そんな花のなかでも「蓮の花」の紋切り型には、著者の少し特別な思いが込められています。


美しい花びらのカーブと、その花びらにつつまれるように守られた花芯のデザインもかわいらしい、蓮の花の紋。
蓮は、極楽浄土に咲くとも言われ、古くから宗教ともゆかりの深い花です。


「花のカードを作る、花のカードを贈る」というと、楽しく嬉しいにぎやかな場面が思いおこされますが、書籍を準備していくなかで”「しずかに誰かの心に寄り添う」ことも大切にしたい”という思いから選ばれ、掲載されたのが、この「蓮の花」でした。

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お彼岸といえば、牡丹餅がお菓子屋さんの店頭に並ぶ季節です。

厄をはらう力があるとされる小豆をつかった、牡丹餅。
この「ぼたもち」という名前は牡丹の花にちなんで呼ばれるようになったという説もあるとか。

そこでこのお彼岸に向けて、美しく咲く牡丹の花の紋切りをつくって、お供えやお茶の時間に添えてみませんか。

白い紙でつくる紋切り


今回は、『咲く』に入っている色あざやかな和紙折り紙ではなく、あえて白い紙で切り紙を作ってみようと思います。
使うのは、茶道などでよく使われる懐紙です。


いつもと少し切り方を変えて、「かげ落ち牡丹」の型紙の大きさを少しずつ変えて写し、紋切りを切ってみます。型紙の大きさを3段階にして、3枚の切り紙を作りましょう。

いちばん小さいものはいつものように、型のとおりにカッターとハサミで切って

残りの少し大きい2枚は、はさみで周りだけを花の型にそって切り抜きます。


3枚の切り紙をそっと重ねると、はかなく優しい真っ白な牡丹の花が浮かび上がりました。

白い紙で切り紙を作っていくと、こころなしか気持ちも静かに落ち着いてくるようです。

お花や牡丹餅、お菓子などを供える時に添えてみます。


「かげ落ち牡丹」の他にも、ぜひお好きな紋切りを白い和紙で切って使ってみてください。
こちらは、空をかけめぐり吉報を運ぶと言われる「燕(つばめ)」。
此岸と彼岸を行き来して、みんな元気にこちらで頑張っているようすを大切な方に伝える架け橋となってくれますようにと、願いを込めて。

懐紙で切るかたちを選ぶとき
懐紙は小社の本に付属の和紙折り紙よりも、少し厚く切りにくいものが多いので、右の「九重菊」のように細かくて折り数の多いかたちより、左の「柿の花」のようなシンプルで折り数の少ないものの方が向いています。

 

しずかに相手を思いやる気持ち。

しずかに相手を思いやる。涙する人と心を共にする、やさしく背中に手を添えるように誰かの悲しみに寄り添う。

今は会えない人に思いをはせ、1人で、あるいは誰かと一緒にゆっくりと白い紙を切り、古くから伝わってきた日本のかたちに習って美しい切り紙を生み出す。
手の中で生まれた切り紙の「かたち」を、贈るように供える。

今年も3月がやってきました。
どうぞ、皆さんが少しでも心穏やかにお彼岸を過ごせますように。


私たちの日々のこころの揺らぎに
そっと寄り添ってきた日本のかたちがあります。