ふきのとう

家の入り口の木の階段の下、
枯葉の間から毎年顔をだす。
気がつくとなぜかいつも
見慣れた街の風景の向こうに
きのこの形の小さな林が見える
ような気がしてならない。

そら ね ごらん
むかふに霧にぬれてゐる
蕈(きのこ)のかたちの小さな林があるだらう
あすこのとこへ
わたしのかんがへが
ずゐぶんはやく流れて行って
みんな
溶け込んでゐるのだよ
こゝいらはふきの花でいっぱいだ

「林と思想」宮沢賢治

しもなかなぼ

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