それぞれの旧暦カフェ・ワークショップ 特別自習(3) 「桃の節供に食べるもの」2022年4月3日(日)

◉旧暦カフェ 「やってみる」自習シリーズ

コロナ禍で集まることができなかった時期に2年続けて「天道花」をネットで呼びかけたところ、みなさんから「やってみた」報告がたくさん寄せられました。「毎年やってみたい!」との声も。
集まれないことは残念だけど、遠くの人も参加できる。
そんなネットの良い面も知りました。今年も折々に「やってみる」自習を呼びかけたいと思います。

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桃の節供に食べるもの

◉旧暦三月三日(2022年の新暦では4月3日にあたる)

桜がちらほら咲いてきました。さて、桃の花は?身近に桃の木がないのでネットで調べてみたら、さすが桃の産地の山梨県、桃の花の開花予想や状況報告がありました。4月上旬から咲きはじめ10日ごろが見頃とか。やはり旧暦の桃の節供にはちゃんと咲きそうですね。もちろん細長い日本列島のこと、地域差もあると思います。みなさんの地域はいかがですか?

桃の節供といえば、雛の祭りというのが一般的ですが、もともとは春の生気に満ちた野山に繰り出し、浜に下りて一日を過ごすという清めの日だったと思われます。その辺のことは語り出すと限りなく深い、、、ので、今回は、この日の「食」に注目したいと思います。

ひなあられ、桜餅、草餅、菱餅(これはもっぱら飾り?どうやって食べる?)
などが一般的です。しかし、この「一般的」というのが実に曲者ですね。
調べてみてびっくりしたのは、草餅といえばヨモギ。これは古来のものと思っていたら、案外と新しく、江戸時代か明治になってからで、もとはハハコグサを使ったのだそう。えっ、ヨモギじゃなかったの!?あの香りこそが薬効と魔除けと信じていたので、驚きました。

ヨモギとハハコグサの共通点といったら、あの若葉に生えた白いふわふわかなあ。これが、餅の「つなぎ」として使われたのだといいますが、、なるほど、もしかしたら毛の無い葉っぱを練り込んだのでは、餅はまとまらない?ああ、当たり前だと思ったことが、グラグラと揺らぐのは快感です。

ちなみに春の七草では、ハハコグサのことをゴギョウと呼ぶのもうっすらと不思議だなあとは思っていたのです。それにもこんな説明がありました。

「平安時代にはこの日「母と子」の人形を作ってお祓いをし川に流す行事が、室町時代に雛祭りとなり、この時に使う人形を「おぎょう」と呼んだので、その時供える草餅に使う草をゴギョウとなった。」(『野外植物民俗事苑』(長沢武著 東京星雲社)より)
 
少しややこしいですが、、、へ〜そうだったんだ!やっぱりハハコグサ!なぜ「母子草」か?という問いには、花がふわりと「ほうける」ことから、ホウケ草→ハハケ草→ハハコ草と変遷したのだという説もあります。ううむ。謎は謎を呼ぶ。

「やってみる」

今回の「やってみる」実験は、うちは市街地なのですが、なんとか空き地や線路側をめぐって草摘みをしてみようと思います。ハハコグサとヨモギ、できれば毛のない別の葉っぱ(ハコベあたりかな)で草餅を作ってみようと思います。どんな味だろう?どんな香り?4月3日過ぎにまたご報告しますね。
みなさんも身近な空き地や道端でヨモギやハハコグサを探してみてください。そして、香りを嗅いでみて!その顛末を写真やメモでご報告いただければ嬉しいな。また、調べたりやってみたりしたことあれば、是非お寄せくださいね。


それぞれの旧暦カフェ・ワークショップ 特別自習 (3) 「桃の節供に食べるもの」

1)あなたの地域では、旧暦のこの時期「桃」は咲いていますか?
2)あなたの家、地域では桃の節供の食べ物といえばなんでしょう?
3)皆さんの「やってみた」報告お待ちします。

日程:2022年4月3日(日)
参加形式:今回は自習のみですので自由参加 参加費は不要です
場所:各自皆さんのおうちで。安全やマナーに気を付けて楽しく自由研究してみましょう!


画一的ではない「行事の食」のありようを見てみたくて、
『47都道府県・和菓子/郷土菓子百科』(亀井千歩子著 丸善出版)
から、各地の「桃の節供の行事食」を調べてみました。

◉青森県(東通村)のし餅を菱形に切った「鬼の舌」餡を入れて三角に切った「角っこ」
◉岩手県(盛岡、花巻、遠野市周辺) 花団子、花餅(餅米、粳米を混ぜて彩色した餅皮に餡を包んで、花、うさぎ、桃などを木形で押して蒸したもの。
◉秋田県(田沢湖、角館地方)「雛っこ餅」「笹っぱ餅」(亀田地方)「椿餅」
◉福島県(いわき、相馬地方)「いらご餅」餡入りの白い餅の上に赤、青、黄に染めて蒸した餅米を乗せる。根付きの浅葱を添える。
◉石川県(金沢)金花糖
◉岐阜県(東濃地方)「からすみ」
◉愛知県(尾張地方、名古屋)「おこしもの」
◉京都府(京丹後市)「ぼりぼり」(あられ)
◉兵庫県(丹波篠山)「ぼり」生姜糖のかかったあられ
◉島根県(松江市周辺)「花もち」「いがもち」
◉鳥取県(用瀬)乾飯と餅米を炒った「はぜ」にあられや黒豆、大豆を混ぜ水飴でまとめた「おこし」のようなもの。米菓子の原点。「ほとぎ」「かしん」とも。
◉広島県 蓬餅と白餅の菱餅。よもぎ団子。ほうこ団子(母子草)「ほとぎ」
◉香川県(東かがわ市)白根のついた分葱の根元にアサリで覆う飾り物。
「おいり」「おはぜ」
◉愛媛県「しょうゆ餅」「りんまん」「げんこつ」節句の翌日「おなぐさみ」「雛送り」「磯遊び」
◉長崎県「ふつ餅」ふつ=ヨモギ
◉宮崎県「ふつ餅」「菱餅」
◉鹿児島県(奄美)「ふたつご」サネン(月桃の葉)2つ積んだ蓬餅。「こうしん」はったい粉に煮芋を入れて固める。ご馳走を持って、浜に出て潮干狩り。
◉沖縄県 浜降り「ふつ餅」「うじゅう菓子」サーターアンダギーと同じ生地で花が咲いたような形に。

さぁ、あなたも #桃の節供に食べるもの してみませんか?

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ちょっと「桃の節句に食べるもの」にチャレンジしてみようかな、と思われた皆さん!
よかったらみなさんの自習結果(写真、制作エピソードなど)を私たちにもシェアしていただけるとうれしいです。

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「やってみた」天道花@くさっぱら公園2020

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