【自習ご報告:1】それぞれの旧暦カフェ・ワークショップ 特別自習(8)亥の子(いのこ) 十日夜(とうかんや)

◉旧暦カフェ 「やってみる」自習シリーズ

今回の「旧暦カフェ」自習は「亥の子(いのこ) 十日夜(とうかんや)」の提案でした。

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◉亥の子、十日夜 「やってみた」報告

「亥の子」が終わったと思ったら、立冬。
まさに、亥の子の後に冬が来る!なんですね。

冬は「殖ゆ」。静かに籠り「魂振り」の儀式が重ねられる季節です。
(こういう動と静の大きなリズムがあるのはいいですねえ)
神や自然に対して、何かを「願う」だけでなく、その恩恵を感謝し、ねぎらう。そして励ます。
私たちの先祖はただの受け身ではなかったんだなあ。積極的に働きかけてきたのだということが
この行事から感じらました。

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11月5日@景丘の家にて

入り口の板の間には たわわに実った稲のハザ掛けを展示。
古代米、酒米の「京の輝き」黒米を送ってくれたのは舞鶴の鹿猟師の清水さん一家。
藁は、南伊豆の尾見さんのお姉さん、綾部の和菓子屋さんの吉田さん。ありがとう。
藁の香りが満ち、収穫の喜びのお裾分け。
新米の向こうにこんな風景があることを忘れないでおきたいなあ。

藁の向こうに風景が見える!

さあ、藁にまみれて藁鉄砲作り。
多摩川でとってきた赤い枝(オオケタデ)を芯にして力一杯ギュウギュウと縛る。
藁ってあったかい。
芯は何のため?丈夫にするため?ちょっとおまじないみたい。

本には「畑で枯れている茗荷の茎などを芯にして」と書いてある。
やはり行事は「そこにあるもの」で作られている。
だから、私たちも身近にあるものを探してみた。

藁の手触りをたっぷり味わう。
少し濡らして叩けば、とってもしなやか。そして丈夫。
収穫できたのは、米だけでない。
藁も大切な素材。

さあできた!

藁鉄砲で地を打つ。
わらべうたを研究する保育士の篠崎さん、高橋さん、請園さん、馬渕さんの音頭で唄を歌いながら。
バシン!バシン!と思い切り。
あれ、これなんだか昔の脱穀作業と似ているなあ。

衰えつつある太陽、冬を迎えるこの季節。
本当は、亥の日の亥の刻(夜の9時〜11時ごろ)の陰づくしの時にに行うのこ行事。
元気な子供(本来は陽の気の男の子)の大きな唄声や地を叩く行為で自然の力を励まし奮い立たせる。
陰陽五行説では、藁や石も陽の気のもの。
陰と陽を合わせ新しい生命を産むまじないは、天地開闢の時の再演のようでもある。
何だか想像のスケールが大きくなってきた!

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以下、篠崎さん高橋さんに事前に歌ってもらった唄の録音を添付します。(ありがとう)
来年はちゃんと覚えて、そらで歌えるといいな。笑
考えてみると、私たちはまだこういうリズムや音が記憶の中にあって、自然に体が動くけど
今の子供達はどうなんだろう?こういう音や身体の記憶も伝えていきたいもの。

亥の子唄
十日夜の唄

コンクリートの上での「亥の子突き」は筵を敷いて。
土の上でやれば、もっとどずんどすんといい音がするんだろうな。
みんなの息が合わないと、石は上手に動かない。
何度か唄ううちに段々と息が合ってくる。気持ちいい。

「亥の子突き」を描いた絵にあったように
丸石を花や実、葉っぱで飾ってみまた。

三重県松坂地方の「亥の子ぼた」を作ってみた。
里芋をご飯と一緒に炊いて、5分ほどに潰して粒あんをまぶしたぼた餅。
里芋のとろみが餅の代わりに粘りを出して、おいしかった。
これもまた、「あるもの」で工夫したんだろうな。
里芋は子沢山の猪に見立てたのだとも。
なるほど、ちょっと似てるね。

「亥の子餅」の作り方は諸説あるけど、あるもので心を尽くす。それがご馳走。
庶民の行事の締めにはやっぱり、ぼた餅。

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亥の子 十日夜は、遠い地方の風習と思いきや、
東京でもかつては(今もどこかで?)行われていたこと。
驚きです。稲作が終わり、冬の間は大根、なんですね。
大根畑を重箱を持って歩くお爺さんの姿がいいねえ。

世田谷区、杉並区
お重に大きなぼた餅を入れて「亥の子のぼた餅、食いたきゃ抜き出せ」と言いながら大根畑を歩く。
ガマガエルにぼた餅を背負わせるると、大根の伸びが良くなる。

田無市
「大根の帯とき」と言い、大根畑にぼた餅をひとつ埋めておき、お犬さまのお札を貼った板を畑に立てる。
お犬さまのお札を障子に貼って、その前に二股大根とぼた餅を供えておく。

武蔵野市
この日を「かかし上げ」と言い、大根畑に入ると大根の出が悪くなるという。
新しい藁づとに団子を入れて供えておくと蛙が背負っていく。

多摩地方 瑞穂町
藁の中に茗荷の茎を入れて藁で巻いたたたき棒で「とうかんや とうかんや 十日の晩の藁鉄砲 亥の子のぼた餅生でも食える」と囃しながら、子供達が地面を叩く。

大田区
高山家 亥の子の日にもち米を炊いて、その火をとってこたつに火を入れた。

板橋区大門 須田新次家

「ふるさと東京 民俗歳時記」(佐藤 高著 朝文社)より

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