【自習ご報告:1】それぞれの旧暦カフェ・ワークショップ 特別自習(7) お盆 死者を思う季節

◉旧暦カフェ 「やってみる」自習シリーズ

今回の「旧暦カフェ」自習は「お盆」の提案でした。
8月12日を前に続々と情報が寄せられていますので、ご報告いたします。


それぞれの旧暦カフェ・ワークショップ 特別自習(7) お盆 死者を思う季節 2022年8月12日(金)
https://www.xpl.jp/ws-20220812jisyu/

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Sさん(福島市) 
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ウチでは今年義母が亡くなりましたので、盆棚というのをお盆の時に仏壇の周りにしつらえて、飾りをし、提灯を左右対でかけてお盆がすぎるまて、そのままです。
あと、茄子やきゅうりに足の楊枝をさして火おくりしますね。

また、昨日、神社で夏越祭があって紙製の人形に名前を書いて、災をはらってもらいたいところをその人形でボンボンと触れて神社に納めます。
そして茅萱で編んだ輪をくぐり抜けて、茅萱を何本か持ち帰り、玄関に挿しておきます。これも災いを防ぐ意味合いがあるのだと思います。

スワミカコさん(京都府福知山)
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さて待ってましたの回です、今月浜松へ生地仕入れに行った時のこと。
地元のスーパーに友人に連れて行ってもらうと
見たこともないお盆グッズばかり!7月頭だというのに並ぶのも早いし。




中でも米袋!初盆を迎えるところはこれを供えるらしい、女性用と男性用で形も違う。
(あまりにびっくりしてネットで調べました、静岡西部の慣わしだそうで自作する方法がたくさん載っていました)
施餓鬼という言葉は知っていましたがまさに米そのものを施すとは。
ちょうちんは下げても松明なんて焚かない、というと友人はびっくりしていました。
本当に所変われば、ですね。亡くなった人への想いの形への表れがそれぞれにあって
全部意味があると思うとなんて奥深いーー
愛媛の私が育った家も何もお盆の行事がなかったので(地獄の蓋が開くから盆に海で泳いではいけないということだけはしつこく言われて育ちましたが)少し憧れのようなものがあります。
それもこの歳になればこそでしょうが。

福知山のお盆行事は盆菓子程度でいまだあまり見えてこないのですが、、
聞き齧りでも何か知ることができたらいいなと思っています。


スワミカコさんは「茅の輪くぐり」のレポートも送ってくださいました。
こちらもぜひご覧ください。
https://www.xpl.jp/ws-20220630report5/

新井厚子さん(京都府福知山市大江町)
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実家は延々と波美でに続く家なのですが、浄土真宗なので、あっさりなお盆です。
多分昭和40年50年代くらいまでは、新暦で7月にお盆が行われていました。養蚕が盛んな土地だったので、8月半ばの忙しい時期を避けていたらしいです。
その後、旧暦のお盆に戻りました。
13日の午後に山の上にある村のお墓に花を持ってお供えして、14日の朝に、家族でお参りをして白いお団子をお供えします。
家では、お盆前に仏壇の飾り付けを祭礼用にして、打敷も夏仕様にしてお素麺やお団子供えたりしてました。

ほか8月23日頃に地蔵盆というのがあります。
在住の天田内あたりから大江山にかけての谷筋〜宮津(もと宮津藩だったあたり)地蔵盆に子供達が集まって、お地蔵さんにお化粧直しをして色を塗り直します。
なんだかアジアっぽいサイケなお地蔵さんもあります。





下中菜穂より新井さんへのお返事
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浄土真宗があっさりお盆なのも本で酔うんでましたが、やっぱりなんですね。
新盆から旧盆に戻ったという経緯も面白い。養蚕しなくなったこと、やっぱりお盆は8月っていう気分なのかしら?
山の上に村のお墓があるんですね。死んだら山に行くというい地域と海に行くという地域があるけど、山なんですね。
地蔵盆、私もいつか行ってみたいな〜。「山の神」も!

新井厚子さんより下中へのお返事
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山の上にお墓があるのは、洪水を避けるためでもあるようです。
この地域は、昔から由良川筋は洪水が多く、その昔はお寺がなかったウチの村は、水がついて、村が孤立しても葬式ができるようにと、江戸時代にお寺を誘致したらしいです。(冠水することを「水がつく」といいます)

長く関東や海外にいらしてから、大江町に戻り、周囲の習慣や言葉が面白いこといっぱい満載に気がついた、という新井さん。
これからのレポートも楽しみです。

岸葉子さん(三重県紀宝町)
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私の家でも、お盆の行事をするのは父や母の実家で、たまたま?夏休みで帰省しているから参加する感じでした。
だから、はっきりしたことは知らないのですが、たぶん8月13日~15日(初盆はもっと早くから?)だと思います。

子どもの頃、父の実家(和歌山県新宮市)で体験したのは、たぶん13日夕方に家の前で迎え火をたく、仏壇に果物や小さな野菜、お団子、盆菓子などをお供えする、親戚が集まってきてお参りして飲み食いする、
15日夜に熊野川の川原にお団子や盆菓子、小さな野菜などを持っていき、お線香をあげてお祈りしたあと火をつけて焼いて流したかな???
初盆(はつぼん)の時は、竹を組んだやぐらみたいなのに白い紙の提灯をたくさん吊し、熊野川の川原まで皆で担いでいき火をつけて焼いたはず。

◉短大の時のお盆のレポートについて覚えていること
和歌山県那智勝浦町市野々(いちのの:那智山の麓の集落)のお盆行事について母方の祖母(明治42年生)に聞いたこと。
まず、お盆の「盆」は満月のこと、昔のお盆は満月だったので盆踊りするのに明るくて都合がよかったらしい。
お盆の行事で最初にすることは、水神(みずがみ)様のお祀りで、家の横の小さな谷川の川原に竹筒を2本さしているところがあり(幅も狭い小さな小さな川原で、周りにはバラン(葉蘭?馬蘭?)がたくさん生えていました)その竹筒に榊をお供えしてお祈りする。
次に「位牌の繰り出し」、仏壇の位牌を全部取り出して布で拭いてきれいにする?
あと、「おちつき餅」(落ち着きなさいという意味らしい?)をついて食べたり、ジュウロクササゲ?入りのご飯を炊いたり?
他にもいろいろ、毎日することがたくさんあって、お盆行事の期間も13日よりずっと前から始まっていたように思います。
このレポートは、最初に水神様のお祀りを書いたお陰で、民俗学の原先生から「秀」(95点~100点)という最高点をいただきました!
原先生によると、どの地域のお盆も最初に川や海など水辺に魂を迎えに行くそうで、それが書いていないと内容がどんなに素晴らしくても「秀」はあげられないとのことでした。

◉一番のお盆の思い出
小学校低学年の時、父と父の妹である叔母とたぶん3人で、親戚の初盆のため、父の故郷の三重県熊野市飛鳥町へ行きました。
お寺に行ったのですが、そのお寺は無人の小さなお寺で、夜になると本堂の前の小さな広場で盆踊りがありました。
私も浴衣を着て、盆踊りが大好きな叔母と一緒に参加したのですが、中央の小さなやぐらは無人で音楽はカセットテープでエンドレスに流し、やぐらの周りで叔母たちは、ひたすら無心に延々と踊り続ける…大人たちが無表情で踊り続ける姿は異様で、このままいると永遠に踊りの輪から出られなくなると恐怖にかられて必死で輪から抜けました。
父の生家は既にないため、その晩は小さなお寺の狭い本堂に泊まった(布団もなく浴衣のまま雑魚寝)のですが、真夜中にふと目を覚ますと、静まりかえった中に辺り一面、青い光が満ちていて、一瞬、海の底にいるような感覚に。青い光の正体は、夜通しぐるぐる回っている盆提灯(10以上あったはず)だったのですが、水色の浴衣を着ている私は青い光と一体化したような不思議な体験をしました。あの感覚は今でも忘れられません。

尾籠和泉さん
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少し前から子供の夏休みがてら北海道にきております。
こちらに地元の方の知り合いがいるわけでもないので、
スーパーで見た限りになりますが、ちょうどこれからが北海道もお盆の季節のようです。

特徴的なのは、落雁で、「蓮花」「菊重」を飾るのが主流のようです。
(そのほか、果物や野菜など、東京で見るようなものも並んでいます)

三好徳子さん
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◎母の実家の青森(弘前)のねぷた祭りではなく、今回は青森市のねぶた祭りに行きました。
大きな太鼓に笛と鐘に合わせて、鈴をぶら下げた跳人が踊り、掛け声は「ラッセラー」。
衣装は阿波踊りをすごい派手にした感じで、花笠も派手。
期間は8月2日~7日まで。

◎主人の実家の秋田、竿燈祭りは、妙技会と呼ばれる人達が竿燈の技を披露。
掛け声は「どっこいしょーどっこいしょ」。大きな太鼓と笛と鐘はへぶたと一緒。
提灯の明かりは電球ではなくろうそくなので、バランスを崩して竿燈を落としたりすると振動で消えてしまうので、あわてて火をつけてもう1回挙げる。
期間は8月3日~6日まで。
竿燈が終わった翌日の8月7日にお墓の掃除をするのが決まりで、
そこからお盆が始まります。
お盆前だったので飾りは見れなかったのですが、スーパーには色とりどりのお盆飾りが売っていたので、派手なんだろうなという感じです。


ねぶた祭と竿燈祭りはどちらお盆の前の週の平日、しかも4日間だったりねぶたは6日間やってるので、
地元の人は仕事を早く切り上げてお祭りに向かうようです。
大きな音と火と踊りで祭りをしてからお盆に入る。
何度もねぶたと竿燈はみていますが、また違った視点でお祭りを味わうことができました。



伊藤安寿華さん
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先日、小金井の農協で「金銀蓮」と「ねござ」というのを見つけました。
リサーチへしていないのですが、去年Kさんにお話を伺った時には気づかなかったです。金銀蓮がやたら派手なのと、わざわざ「ねござ」なのが面白いと思いました。

下中より伊藤安寿華さんへのお返事
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おお!寝ござというのは面白い。
これはご先祖さまがおやすみになるということですかね。
マコモやカヤで作った敷物を仏壇や盆棚に敷くところは多いですけどね。

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これまでの旧暦カフェ・ワークショップ:https://www.xpl.jp/tag/kyurekicafe/